《ルニィ》選ばれなかった、あの器。
先日、焼き物を見に行きました。
職人さんが、
一つひとつ手作業で作り上げた陶器たち。
同じ柄に見えても、
少しずつ違う。
お客さんは、
その中から思い思いの一枚を選び、
嬉しそうに持ち帰っていきます。
そんな中で、
一枚のお皿が目に留まりました。
大きさ。
色合い。
形。
個性的で、
家庭で毎日使うには、
少し扱いづらいかもしれません。
でも、そのお皿には、
他にはない存在感がありました。
静かに、そこにいる。
誰かに気づかれることを急ぐわけでもなく、
ただ、そこにある。
そんな印象でした。
きっと、
たくさんの人が手に取り、
そして戻してきたのでしょう。
「素敵だけど、
うちでは使わないかな。」
そんな言葉と一緒に。
来る日も、
来る日も、
そのお皿はそこにありました。
それでも、
どこか堂々として見えたのは、
職人さんが心を込めて作ったことを、
その器自身が知っているように感じたからかもしれません。
ところがある日、
その姿が消えていました。
店員さんに尋ねると、
そのお皿は、
一流料亭の料理人が選び、
コース料理のメインを彩る器として旅立っていったそうです。
その話を聞いた瞬間、
私は思わず立ち止まりました。
目の前にあるのは、
一枚の器の話なのに。
そこには、
昔の私がいました。
「どうして私はうまくいかないんだろう。」
「どうして私だけ選ばれないんだろう。」
そんなふうに、
自分には何か足りないものがあるのだと、
思い込んでいた時期がありました。
でも、
あのお皿は
売れ残っていたのではありません。
自分を必要としてくれる場所に、
まだ出会っていなかっただけだったのです。
人も、
少し似ているのかもしれません。
職場や恋愛、人間関係で
「どうして私は選ばれないんだろう。」
そう思ってしまう日があります。
でも、
本当にそうなのでしょうか。
あなたに足りないものがあるから、
選ばれてこなかったのでしょうか。
あのお皿は、
自分を変えたわけではありません。
形を変えたわけでも、
色を塗り替えたわけでもない。
ただ、
必要としてくれる場所に出会っただけでした。
もし今、
「私はどこへ行っても同じだ。」
そう思っているのなら。
本当にそうでしょうか。
もしかしたら、
まだあなたという器を、
本当に必要としているところに、
出会っていないだけなのかもしれません。
ルニィ
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