《ルニィ》心が動いたのは、恋じゃない 〜その言葉を、ずっと待っていたから〜
人は時々、
相手に恋をするんじゃない。
救われた瞬間に、
心を動かされます。
以前、
こんなご相談がありました。
長く付き合っている彼がいる女性です。
大きな喧嘩もない。
一緒にいるのが当たり前になっている。
そんな穏やかな毎日を過ごしていました。
だから、
他の男性に心を揺らすなんて
思ってもいなかったそうです。
きっかけは、
職場環境の変化でした。
新しいプロジェクト。
そこで一緒になった同僚を
好きになってしまった。
彼女は、
人前で話すことが苦手でした。
発表も苦手。
自分の言葉にも自信がない。
うまくやらなければ。
ちゃんと伝えなければ。
失敗してはいけない。
そんな思いを、
ずっと抱えていました。
彼は、
そんな彼女の練習に
付き合ってくれたそうです。
何度やっても上手くいかない。
焦る、空回りする。
言葉が出なくなる。
プレッシャーに
押しつぶされてしまった。
その時、
彼は言ったそうです。
「そのままの君で、大丈夫」
その言葉を聞いた瞬間、
彼女の瞳から涙が溢れた。
発表が不安だったからじゃない。
悔しかったんです。
今までずっと頑張ってきたから。
上手くやろうとしてきたから。
期待に応えようとしてきたから。
なのに本当に欲しかった言葉は
たった一言だった。
「そのままでいい」
もっと頑張れ。
もっとしっかりしろ。
もっと上手にならないと。
そんな言葉を、
たくさん聞いてきた。
でも「そのままでいい」
と言われたことはなかった。
だから、
心がほどけた。
救われた。
そして、
気づけば彼のことを考えていた。
今の彼氏は
欲しい言葉をくれる人ではない。
落ち込んでいても
隣にはいてくれる。
でも、多くを語らない。
だから余計に揺れた。
ああ、
私が欲しかったのは、
こういう言葉だったんだ。
そう思ってしまった。
しかし、
彼女が心を動かされたのは
本当にその男性だったのでしょうか。
きっと彼が特別だったんじゃない。
その言葉を
ずっと待っていたんです。
頑張らなくていい。
上手くできなくてもいい。
そのままでいい。
本当は、
誰かにそう言ってほしかった。
だから、
その言葉をくれた人が
特別に見えた。
本当に苦しかったのは、
彼氏と同僚の間で揺れたことじゃない。
今の彼が悪いわけでもない。
同僚が特別だったわけでもない。
ただ、
彼女は気づいてしまった。
自分が思っていた以上に
ずっと我慢していたことに。
ずっと頑張る自分しか
愛されないと思っていたことに。
人は時々、
相手に惹かれているようで
実は、
その人の前でだけ見せられた自分に
惹かれています。
弱くてもいい。
泣いてもいい。
完璧じゃなくてもいい。
そんな自分を、
初めて許せた。
だから離れられなくなる。
そして、
隣にいてくれる人より
欲しかった言葉をくれる人が、
運命のように見えてしまう。
もし今
誰かに心が揺れているなら、
その相手を見る前に
一つだけ考えてみてください。
あなたが恋をしたのは
その人ですか。
それとも
その人の前でだけ許された
《本当の自分》ですか。
恋だと思っていたものが、
実は長い間、
置き去りにしてきた自分からのサインだった。
そんなこともあるのです。
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